特許法104条の3について

以前は、特許が有効かどうかを裁判で争うことはできなかった(特許の有効性判断は、特許庁の専権事項として裁判所は判断しなかった)ので、侵害訴訟で特許の有効性が問われる場合は同時に特許庁に対して特許無効審判請求をしていた。特許庁が無効審決を出すまでの間は、裁判ではその特許は有効なものとして扱われるので、裁判の無用な長期化を招いていた。
裁判所が実質的に特許の有効性を判断するようになったのは、富士通vsTIの有名な「キルビー特許裁判」で、「無効事由を有する特許に基く権利行使は、権利の濫用であり許されない」という判決が出てからで、それからは「権利濫用の抗弁」が裁判において多用される状況になっていたわけですね。で、これを明文化したのが104条の3項である、と。