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フィット3(FIT3、GP5)のリコール

以前のリコールやサービスキャンペーンは納車前だったので、自分のクルマは納車時に対策済みだったのだが、今回のはもちろん対象になる。

「改善箇所説明図」というのが、http://www.mlit.go.jp/common/001027258.pdf にある。右下の図が、DCTの1速(遊星歯車)の断面図である。実際には、この中心を左右にメインシャフトが通り、そのメインシャフトにモーターとエンジン(クラッチを経由して)が繋がっている。メインシャフト上にサンギアがあり、プラネタリ―ギア(図の上の方の、ちょっとごちゃごちゃしているところ。実際は3つあるが、断面なので一つだけ描いてある)と噛み合っている。プラネタリーギアは、ギアキャリア(左側に出っ張っているところから繋がっている部分)から生えたピンの周りを回るようになっている。
図の「ハブ」と書かれた部品は、リングギア(図の一番上下にある。わっかの内側に歯形がついている)とセレーションで噛んでおり一体的に回転する。ハブ(リングギア)が固定されていると、メインシャフトの回転はプラネタリ―ギアの公転運動になり、減速されてギアキャリアから出力される。この出力を3速ギアに入力した状態が「1速」。ハブ(リングギア)とギアキャリアを一体化すると、遊星歯車全体がメインシャフトと一体で(減速せずに)回るようになる。この時のギアキャリアからの出力を3速ギアに入力した状態が「3速」である。

特許第5354817号に記載されているのが、実際のi-DCDで行われていることではないかと思う。(ちなみにこの特許、登録日が平成25年9月6日。フィット3の発売日なのは、たぶん偶然じゃない)。特許の実施例は5速ミッションになっているが、7速でも同じ。これを見ると、3速ギアと遊星歯車のギアキャリアが一体化されているとある。1速にする場合は、リングギアを拘束。3速にする場合は、リングギアをフリーにして、ギアセレクタで3速ギアをセレクト(3速ギアとメインシャフトを互いに拘束)する。リングギアの拘束はワンウェイクラッチを用い、1速から3速への切り替えは、ギアセレクタの操作だけで可能(1速の時にリングギアが回ろうとする方向は、メインシャフトの回転方向と逆なので、ワンウェイクラッチで拘束できる)。ニュートラルを出すときは、3速ギアもリングギアもフリーにすればよい。ちなみに後退時は、エンジン出力は偶数段の軸からアイドラを介して3速?を逆転させ、モーターはそのままメインシャフトを逆転させるようだ。モーター駆動は3速相当のギア比になるので、後退時の疑似クリープが弱いのはそのせいだと思う。
停車中、ミッションが「N」で、かつエンジンが回って発電しているときは、リングギアはエンジン(メインシャフト)と逆方向に回転している。ここから1速に入れるときは、クラッチを切り、モーターの負荷でメインシャフトの回転を止めてから、スリーブを動かしてワンウェイクラッチと繋ぐんだと思う。

構造がわかったところで今回のリコールだが、ニュートラルから1速に入れるとき、リングギアをワンウェイクラッチと接続するためのスリーブの動きに問題がある、ということになる。以前の対策の二次障害だということなので、たぶんこういうこと。
1速に入りにくいことがある。それは、スリーブを動かしたときに、ドグの山同士が当たってしまうから。対策として、一定時間経過しても噛み合わないときに、モーターでメインシャフトをちょこっと回すことにした(前回のリコール)
しかし実際には、ドグの山同士が当たっているのではなく、スリーブの動きが渋くてゆっくりしか動かないものがあった。一定時間経過しても噛まないので、メインシャフトを回してみたら、回った状態でドグが噛もうとして、破損してしまう事案が発生。

ということで、
・今後の生産品は、スリーブの研磨、若しくは組立後に繰り返し動作(初期馴染み)を行う。
・ソフトは元に戻すか、いったんモーターを回した後、ちゃんと止めてからスリーブを動かす。
のではないか、と予想。当たらずとも遠からずといったところではないか。

出る個体は度々出るが、出ないクルマは全然出ない類のトラブルだと思われるので、ホンダの「噛み合いの履歴を見て、噛み合わなかった履歴がある場合はミッションを良品に交換」というのは妥当だと思う。んで、ここでいう「良品」というのは、材質や形状が違うわけではなくて、結果的にスリーブの動きが渋くないもの、ということ。履歴がない場合は、とりあえずは問題ない。短い時間で、今までスムーズに動いていたスリーブが渋くなる、というのは考えにくい。長期的には注意が必要。ミッションオイルの管理が重要かも。
量産品の開発をやっていると、こういうトラブルが試作で出ずに量産で出る、というのはしばしばある。量産バラつきというのはバカに出来ない。ただし、不具合に対して、全ての可能性を検討せずに対策を打ち、二次障害を出してしまうのは、時々あることとはいえ、まずかったのではないかと思う。

当面はSモード推奨ということだが、Sモードはエンジン2速/モーター3速で発進するそうなので、その状態では、スリーブはワンウェイクラッチに噛まないということなのだな。気になるのは(今回のトラブルとはあんまり関係ないが)、急な上り坂を3速で登っていて、速度が落ちた時に1速に入るのか?ということ。いったん停止しないと1速には入らないようになっているんじゃないか、という気がする。クルマが戻ってきたら試してみよう。

「クルマが戻ってきたら」というのは、我が家のフィット3は修理に出ているからで、1カ月点検で直らなかったリアからの異音を直してもらうべく、昨日カミさんがディーラーに持って行ったのだ。代車は7代目シビック5ドア。リコールについては何も言われなかったそうな。ひょっとして21日以降、ソフト書き換えまで帰ってこないかな?