ウィリアムズFW27を見て思う。

各F1チームから、今シーズン用のマシンが発表されている。個人的に一番興味があるのは、去年非常にユニークなクルマを作った(残念ながらあまり成功しなかった)ウィリアムズ。去年のクルマは奇妙なノーズ形状で注目されたが、強い下反角の付いたフロントのサスペンションアームによる、常識はずれのジオメトリこそが最大の特徴だったと思う。31日に発表されたFW27では、FW26で特徴的だった下反角のついたアッパーアームは捨てられ、写真からは良くわからないが、極端に短いロアアームも、多分常識的なデザインに改められたのだろう。フロントタイヤのネガティブキャンバーがほとんどゼロだったのも、ごく普通の角度になっている。
これって、今年からの新レギュレーションで、予選〜決勝を通じて一組のタイヤで走らなければならなくなったのに対応して、ミシュランがタイヤに対する考え方を変えたせいじゃないだろうか?昨年のミシュランは、ラウンドした外側ショルダー部を接地させることで、フロントタイヤの実質的な接地面積を増大させるように設計されていたようだが、それだとショルダー部分の負担が大きく、長距離を無交換で走りきることが出来ないのだろうと思う。また、常識的なサスジオメトリを持った去年のB・A・Rが速さを示したことも、FW27の「フツーさ」に影響を及ぼしたんじゃないだろうか。
ところで、B・A・Rの新しい007とFW27を比べると、サイドポッド前下端部の空力デバイスの形状が似通っている。今年のものとは違うが、確か去年も両者で同じようなデバイスが付いていたっけ。両チームの人脈的なつながりが見えるようで面白い。
余談だが、80年代から92年ぐらいまでのF-1マシンは、「リアウィングの翼端版」を見ると、空力デザインをしたのが誰なのかが良くわかったものだ。フェラーリF189とティレル019とか、ウィリアムズFW11とロータス101とか良く似ていたように記憶している。クルマの全体形はチームの事情や毎年の進歩に応じて決まっちゃうけど、自由度のある部分はクセが出ていたんだろう。